装具/サポータの変遷

金属装具で遊ぶキャンツ 福祉用具
金属装具で遊ぶキャンツ

金属装具

救急搬送された病院から転院した回復期リハビリのための病院で,理学療法士さんの指導のもとに妻の身体に合わせて装具(川端義肢製作所)を作成した。足先から太腿までを支えるもので,皮革と金属(アルミニウム)で作られている。納品された時のその外観と作成費用を示す。(2017-12-02)

最初に使用した金属装具
最初に使用した金属装具
金属装具の作成費用
金属装具の作成費用

病院では,リハビリの時間になると理学療法士さんが病室にやってきて,妻を車椅子に乗せ,この装具を持ってリハビリ室に移動。そこでかなり時間をかけてこの装具を妻に装着し,歩行トレーニング等を実施していた。装具を着け四点杖をついて歩行トレーニングを行う退院直前の妻の様子を示す。この写真を福祉用具の業者に見せ,退院に備えて自宅に用意すべき福祉用具について,業者からサジェションをいただいた。(2018-01-23)

金属装具を着けて歩く
金属装具を着けて歩く

退院後も,通院先のリハビリクリニックへはこの装具を持って通っていたが,膝の力が回復した段階で,膝から上の部分を外して装着するようになった。^ベッドの横に置かれたその状態の装具は,さっそくキャンツの遊び道具となる。(2018-02-18)

膝から上の部分を外した金属装具にキャンツがアタック
膝から上の部分を外した金属装具にキャンツがアタック

プラスチック装具

通院先のリハビリクリニックでは,妻が膝をある程度動かせるようになった段階で,足首の上までを保護するだけのプラスチック製の装具に交換することを勧められた。これだと装着も容易なので,自宅の屋内での歩行にも使えるとのことであった。

プラスチック装具を妻の脚に合わせて作るために,リハビリクリニックに業者がやってきて,足首の上までの型取りを行った。足にサランラップを巻きつけて,その上に石膏を塗って固め,その石膏を切り取るまでの作業を15分間で完了した。型取りに使う石膏がかなり柔らかくて,一か所を切り取るだけで,足から外せることにちょっとびっくり。(2018-03-01)

プラスチック装具を作るための型取り
プラスチック装具を作るための型取り

参考までに,このプラスチック装具(P.O.ラボ)の作成費用を示す。金属装具には左右の靴が標準装備されていたが,プラスチック装具には靴は付いてなく,装具対応靴(左右の大きさが異なる)を別途購入する必要があった。

プラスチック装具作成費用
プラスチック装具作成費用
装具対応靴の費用
装具対応靴の費用

妻は通院先のリハビリクリニックのリハビリ室の中を,プラスチック装具を着け四点杖をついて歩きまわる。理学療法士さんは横について片手でサポートしている。(2018-03-12)

プラスチック装具を着けて歩く
プラスチック装具を着けて歩く

金属装具に比べてプラスチック装具は装着がかなり容易であることがわかり,自宅の屋内での移動に車椅子を使わなくてもよくなることへの期待が高まった。しかし装具がコタツにぶつかる等の問題が明らかになり,屋内での車椅子なしの生活を可能にするは,このような装具なしに歩けるようになるまで待つ必要があった。

この問題に応えるため,プラスチック装具の業者は,屋内での布製の簡易サポータの利用を勧めてきた。(2018-06-14)

布製の簡易サポータ
布製の簡易サポータ
布製の簡易サポータを着けて歩く(2018-07-13)
布製の簡易サポータを着けて歩く(2018-07-13)

この簡易サポータの導入により,屋内での歩行であればかなり内反が防げることが分った(2018-07-14)。その結果,屋内移動での車椅子の使用頻度は低下して,私の負担はかなり軽減した。全裸になって浴室に移動する時だけ,車椅子を使っていたが,8月にはその距離であれば,裸足で四点杖をついて歩くことが可能になり,屋内では車椅子は不要になった。(2018-08-23)

裸足で四点杖をついて歩く
裸足で四点杖をついて歩く

プラスチック装具の改造

早く車椅子を使わない生活に戻りたいという本人の希望に応えて,プラスチック装具を着けて近所の公園に通って歩行練習を開始した。その結果,装具の底部が平坦なので,200m以上の距離を歩くと足裏(特に土踏まずの部分)が痛くなることが分かり,インソールを購入して装具の底部に装着した。(2018-05-06)

プラスチック装具を着け近所の公園を歩く(2018-05-04)
プラスチック装具を着け近所の公園を歩く(2018-05-04)
装具の底部に装着するインソール
装具の底部に装着するインソール

その後,最近足首の動きがしっかりしてきたので,業者に依頼してプラスチック装具の踵部分を切り抜き,足首の動き(主に背屈)に対応できるように改造した。プラスチック装具の改造前と改造後を示す。(2018-08-11)

改造前
改造前
改造後
改造後

テーピングと弾性包帯

布製の簡易サポータよりも更に簡素なテーピングについて,理学療法士さんから試行を勧められた。既に室内では何も装着しなくても歩くことはできるようになっていたが,室内でもなるべく綺麗な歩き方を定着させたいという理学療法士さんの配慮であった。テーピングを施した状態での屋内歩行トレーニングをキャンツがもの珍しげに見つめる。(2019-02-28)

テーピングを施した右足
テーピングを施した右足
テーピングを施して歩く
テーピングを施して歩く

素足より綺麗に歩けることが確認できたので,理学療法士さんからテーピングの技法を教えていただく。しかし引っ張る方向は分かるが,どれくらいの力で引っ張ればいいの習得が難しく,彼の説明では,テーピングも針灸と同様の講習を受ける必要があるとのことであった。(2019-03-07)

テーピングの技法
テーピングの技法

2020年10月に交代した理学療法士さんからは,屋外の歩行にも対応可能な弾性包帯の試行を勧められた。足首と足先を巻いて内反しない方向に引っ張りながら巻き付けを完了する巻き方を教えていただき,廊下での歩行にトライ。(2020-12-17)

弾性包帯を巻く
弾性包帯を巻く
弾性包帯を巻いて屋内歩行
弾性包帯を巻いて屋内歩行

妻は,右足首に弾性包帯を巻いただけで靴を履き,屋外歩行に挑戦し,路面の凹凸にも充分対応できることを確認した。しかし内反を防ぐように引っ張る強さの調整が難しく,強く巻くと次第に痛みを感じてくることが分った。(2020-12-19)

弾性包帯を巻き,靴を履いて屋外歩行
弾性包帯を巻き,靴を履いて屋外歩行

ショートブーツ

プラスチック装具になれて屋外歩行の距離が長くなると,インソールを付けていても土踏まずが痛くなってきた。しばらくは土踏まずとインソールの間にさらに布切れを入れて対応していたが,リハビリが進んだ結果,右足首の背屈ができるようになり,足首を固定してしまうこのプラスチック装具はもはや不適切と理学療法士さんから言われた。そして次の段階での一つの選択肢として,足首を多少保護できる普通のショートブーツを履くことを薦められた。(2019-09-27)

ショートブーツを入手して履いてみると,まず足裏感覚がそれまでの装具と全く異なるようで,妻は戸惑いと怖さを感じていた。足裏感覚が薄くなる靴下やインソールの使用は避け,素足のままショートブーツを履いて,廊下での歩行自主トレを開始した。(2019-10-04)

ショートブーツ
ショートブーツ

転倒のリスクを考慮して,妻の前方約50cmを向かい合う体勢で私が後ずさりしながら全長10mの廊下を歩くという歩行自主トレの形式がその頃から定着した。はじめに感じた怖さは,足裏の感覚のフィードバックが少なくなったことによると思われ,毎日の練習によって怖さはなくなったようで,屋外の歩行も可能になった。(2019-11-10)

ショートブーツを履いて屋外歩行
ショートブーツを履いて屋外歩行

しかし疲れてくると足首に内反が起き,柔らかいショートブーツではそれを充分には防げないので,歩行は近距離に限られた。廊下を往復する歩行自主トレにおけるステップの変化を示す。(2019-11-17)

ショートブーツを履いての歩行自主トレにおけるステップの変化。左からそれぞれ,2往復終了時,4往復終了時,8往復終了時。
ショートブーツを履いての歩行自主トレにおけるステップの変化。左からそれぞれ,2往復終了時,4往復終了時,8往復終了時。

足首の内反サポータ

ショートブーツでは歩き疲れてきた時の首の内反を充分には防げず,さらに気温が上がると歩行中の足が暑いとの妻の指摘を受けて,介護グッズではなくスポーツケアのカタログで私が見つけた足首の内反サポータ(Mueller,アンクルブレイス)を購入して,妻に試用してもらった。(2020-06-21)

足首の内反サポータ(左),ショートブーツ(中央),およびプラスチック装具(右)
足首の内反サポータ(左),ショートブーツ(中央),およびプラスチック装具(右)

プラスチック装具に比べてかなり軽量であるため,装着して歩く時に両脚が左右の重さのアンバランスを感じることがなく,しかも背屈を妨げないので,妻にとっての使用感は良好とのことであった。それでその後は,理学療法士さんの確認をいただき,屋内の歩行自主トレだけでなく,屋外での歩行に際してもこの内反サポータを使うようになった。この内反サポータと共に使う靴は,プラスチック装具と共に使った靴をそのまま使用している。

足首の内反サポータを着けて屋外歩行(2020-07-02)
足首の内反サポータを着けて屋外歩行(2020-07-02)

屋内では,理学療法士さんの指示に従って,歩行自主トレの時以外はこの内反サポータは外して,素足に体重をのせる感覚を日常的に感じるようにしている。

最近になって,歩行時にこの内反サポータが外側に傾くことがあることに気付き,調べてみたら,右足に装着している内反サポータの右側板と底板との繋ぎの部分が変色して柔らかくなっていた。2020年6月から約1年間使用してその部分に応力が集中し,劣化したものと思われる。とりあえず予備に買っておいた色違いの同タイプの内反サポータを使用することにした。(2021-09-20)

内反サポータの劣化
内反サポータの劣化

装具/サポータの比較

1年間ほど妻が使っていた足首の内反サポータ(Mueller,アンクルブレイス)が劣化してきたことを受け,理学療法士さんが「装具は下肢の回復状況に応じて適切なものに変えていく必要がある」と言っていたことを思い出して,スポーツケアのカタログを見て異なる2種類のサポータ(足首サポータ(Willget)とさらに簡便な足首サポータ(bhcanae))を買ってみた。

足首サポータ(Willget)
足首サポータ(Willget)
簡便な足首サポータ(bhcanae)
簡便な足首サポータ(bhcanae)

この種のグッズのポイントは,装着のし易さと装着時の歩き易さである。装着のし易さはマジックストラップの数の少なさに代表されよう。歩き易さを決めるのは,それ自体の軽さと関節サポートの強さである。強すぎると歩行中に痛みを感じ,強さが足りないと内反が起きて歩き難くなったり,疲れたりする。

このような判断基準でこれまでの装具/サポータを簡単に比較すると,次の表のようになる。(2021-09-24)

装具/サポータの比較
装具/サポータの比較

妻は,1年間ほど使っていた足首の内反サポータ(Mueller,アンクルブレイス)にプラスチックの劣化が生じた後も,色違いの同タイプのサポータの使用(主に廊下での歩行自主トレでの使用)を続けていた。しかし右脚そのものの状態が変化(回復)しつつあるためか,妻は何となくその使い心地に不満を感じ始めたようなので,再度Webで関連商品を調査して,Zamstの足首サポータ(フィルミスタアンクル)を購入してみた。

この足首サポータはテープ状のマジックストラップをもたず,3層構造の1枚の布地に4箇所の面ファスナが付いただけのシンプルなもの(左右の区別はある)で,その自重は34g。Web上での説明では,スポーツ全般・日常生活用となっている。

足首サポータ(Zamst,フィルミスタアンクル)
足首サポータ(Zamst,フィルミスタアンクル)

これを妻の右足首に巻き付けて,廊下を往復する歩行自主トレを行ってみた。彼女は安定して200mを歩き,痛みや疲れはないと言う。サポータの布地が薄いので,左右の大きさが異なる装具対応靴を用意する必要もなさそう。(2021-11-10)

足首サポータ(Zamst,フィルミスタアンクル)を装着
足首サポータ(Zamst,フィルミスタアンクル)を装着

妻はこれまでいろいろな装具やサポータを使ってきて,その入手と装着とを担当してきた私は,多くの関連製品を調べることを余儀なくされた。その結果,次のような知見を得るに至った。(2021-11-13)

足の装具/サポータは,その構造から次の2タイプに分類される。

  1. 固い外殻に足を固定して,関節の動きを制限する。
  2. 足に追加の表皮を被せて,その張力で関節の動きを制限する。

退院直後から使っていた金属装具やプラスチック装具がタイプ(1)の典型例であるが,その後妻の足の回復状況に合わせて使用してきた既製品のサポータ(Muellerのアンクルブレイス,Willget,bhcanae)もこれに分類される。理学療法士さんが妻のリハビリに何度か使用したテーピングテープや弾性包帯はタイプ(2)の例である。

タイプ(1)では外殻の構造によって関節の基本的な動きが決まるので,機能回復が不充分な状態の足に対して安定したサポートが可能である。しかし外殻に応力が集中するため,強固な材質が必要となり,それが装具/サポータの重さと大きさを決めると共に,外殻に足を固定するための部材が装着のし易さと使用感を左右する。足の回復状況に応じて適切なものに変えていく必要があが,これは外殻をもつ生物が成長とともに脱皮を繰り返すことに似ている。

タイプ(2)は,ある程度機能回復が進んだ状態の足に対して,不足する機能を追加表皮の張力で補うので,その張力の向きと大きさがポイントとなり,装着に熟練を必要とする。

最近使い始めた足首サポータ(Zamst,フィルミスタアンクル)は絶妙な形状にカットした1枚の3層布地とそれに付いている面ファスナによってタイプ(2)を実現したもので,テーピングテープほどの自由度はないが,それほど高度な熟練は必要としない。(2021-11-13)

妻は,固い外殻に足を固定して関節の動き(特に内反)を制限するこれまでのサポータ(Mueller,Willget,bhcanae)と比較して,張力で関節の動きを制限するこのサポータ(Zamst)がはるかに軽くて快適とのことで,歩行練習の時だけでなく,日常生活においてもこれを装着していることが増えている。しかし上手く装着するには,テーピングテープほどではないが多少の慣れが必要で,足首にしっかり巻きつけて,足首を直角にした時に踵の上に皺が発生しないよう引っ張り上げることが肝要である。

装着の要領(Zamst)
装着の要領(Zamst)

内反状態が固定してしまうことを懸念する医師は,常時これを装着することを推奨しているが,装具/サポータなしの生活を目標とする理学療法士さんは,必ずしも常時装着することまでは勧めていない。(2021-11-21)

この足首サポータ(Zamst,フィルミスタアンクル)の問題点である「テーピングテープほどではないが多少の慣れが必要」をさらに改善したものとして,その後新たに足首サポータ(McDavid,M437,ストラップアンクルラップ)を購入してみた。

自重56g,面ファスナの数2,マジックストラップの数1,左右の区別はある,という仕様で,Zamstの足首サポータと同様の軽量快適性をもちながら,装着の容易性に優れているため,歩行練習の時だけでなく,日常生活においても使い易い。(2022-03-27)

足首サポータ(McDavid,M437,ストラップアンクルラップ)を装着
足首サポータ(McDavid,M437,ストラップアンクルラップ)を装着
タイトルとURLをコピーしました