会話と文章筆記

近所のショップで友人へのプレゼントを購入 グッズとウエア
近所のショップで友人へのプレゼントを購入

会話の難しさ

脳出血後遺症の言語障害を患う妻は,私との会話での言葉が最近かなり出易くなってきた。しかしその言葉の意味を取り違えてしゃべっていることがあり,注意が必要。例えば,次のような取り違えがある。
 暑い <–> 寒い
 調子悪い <–> 大丈夫
言葉通りに受け取って対処すると,彼女が不機嫌になったり怒り出すことがある。「暑い」というので,エアコンの温度設定を下げると怒るなど。

これは言語障害回復期の患者を介護する難しさなのかな。発話された言葉どおりには受け取らず,状況や前後の文脈(その文も頼りないことはあるが)を考慮して確認する必要がある。例えば,歩き難そうに歩いている時の発話「なんでこうなったかわからんけど,調子悪い」の「調子悪い」は言葉どおりに受け取れる。

取り違えてしゃべっている時は,本人も多少自信がないようで,その言葉をメモ帳に書いてみることがある。書くと取り違えていたことに気づき易いみたい。健常者でも会話中にうっかり意図しない言葉を発してしまうのと似ているのかな。(2024-02-20)

メモ帳に記された取り違え易い言葉(「調子悪い」と「大丈夫」)を示す。

メモ帳に記された取り違え易い言葉

妻は以前より複雑なことを話せるようになってきた結果,彼女の症状についてこれまでより細かい追加の説明をしてくれる。

屋内歩行自主トレーニングの変遷」のページに記したように,歩行中に右太腿内側の上部の筋肉が痛む日があり,それは歩行器を使うようになってから使い始めたことによる筋肉痛であろうと思われていた。

しかし彼女の最近の説明では,右太腿内側の上部の問題は歩行器を使う前からあり,痛いというより辛いという感じで,たくさん歩くと痛みになると言う。さらにこの筋肉の辛さはベッドに仰向けに寝る時にも感じられるので,就寝時には,右向き又は左向きで寝るようにしている。特に右向きが一番ラクとの説明を受けた。

確かに妻は右向きに寝ていることが多い。しかし看護師さんや療法士さんの施術に際して,仰向けを嫌がったことはなく,仰向けに寝ている姿が写っている写真もある。

仰向けで理学療法士さんの施術を受ける

それで,仰向けに寝ていて右太腿内側の上部の筋肉が辛かったことがあり,その後も就寝時に仰向けに寝ることを避け続けている可能性があると思い。彼女に試しに仰向けで夜寝てみることを勧めてみた。その結果,とくに問題なく眠れたとのこと。

このように症状の説明は細かくなったが,細かいだけにそれがいつの状態であるかを確認する必要がある。

文章筆記

妻が,今月末に誕生日を迎える彼女の友人へのプレゼントを買いに行きたいと言うので,歩行器を使って歩く妻と一緒に近所のバスケットボールショップへ行き,バスケパンツを購入した(アイキャッチの写真を参照)。プレゼントに添えるメッセージは,利き手でない左手で何とか書き終えた。

プレゼントに添えるメッセージを書く

しかし彼女は言語聴覚士さんによる言語リハビリの中で,文章の筆記についてのトレーニングはまだ充分には受けていない。それで文章の組み立てと平仮名の筆記に多くの時間をかけ,何度も書き直した。そのメッセージの一部を示す。(2024-02-22)

プレゼントに添えたメッセージの一部

メッセージの末尾にはクッキーモンスターのイラストが描かれている。これは彼女が昔からよく描いていた(当時は利き手の右手で描いていた)もので,このようなイラストの描出については,脳出血後遺症の記憶障害の影響を受けていないように思われる。(2024-02-22)

メッセージ末尾に描かれたクッキーモンスターのイラスト

その後,プレゼントに同封して送ったメッセージのコピーを読み返していた妻が,「うぁーっ」と声を出すので聞いてみると,「誕生日」と書くところを「誕日」と書いてしまったことに気付いたとのこと。メッセージの草稿は「誕生日」となっているので,書き写す時に「生」が抜けたみたい。しかしウェブで調べると,同じ意味の「誕日」という言葉もあることが分かって一安心。(2024-02-23)

「誕生日」と書くところを「誕日」と書いてしまった

プレゼント発送後の言語リハビリで,妻はプレゼントに添えるメッセージを書いたことを報告。それを聞いた言語聴覚士さんは,リハビリのレベルを急に上げたみたい。(2024-02-23)

言語リハビリで報告

理学療法リハビリでは,歩行器を使ってショップへ行き,バスケパンツを購入したことを報告した。ショップでの買い物は,理学療法士さんに一緒に行ってもらって指導を受けながら実施する予定だったが,天候の都合で実施できず,自主トレとしての実施となった。理学療法士さんはこの自主トレを大いに評価して,ストレッチを行いながら,買い物の内容について妻と会話を続けた(言語のリハビリをも兼ねている)。会話の要点は次のとおり。(2024-02-28)

(1) ショップはごく近所なのでそこまでの移動距離は毎日行っている屋内歩行自主トレのそれより短いが,店内で商品を選ぶための移動がかなりあって疲れた。
(2) 歩行器の座面に一度座って休憩を取ったが,マンションの玄関の段差を上るのが大変だった。
(3) 選んだバスケパンツの色を理学療法士さんに聞かれたが,妻は答えられなかった。その色のブルーグレイはまだ彼女の会話能力では表現できなかった。それで,購入したバスケパンツを発送する前に,サイズ確認のため妻が試着した写真を撮っておいたので,その写真を使って理学療法士さんに色を伝えた。

発送前にバスケパンツを試着

平仮名筆記のトレーニング

プレゼントに同封したメッセージを書くために平仮名の筆記が大変だったとの報告を受けて,言語聴覚士さんは平仮名筆記のトレーニングを強化するため,下記にその一部を示すテキストを用意して,漢字熟語の読みを平仮名で書くことを妻に指示した。

漢字熟語の読みを平仮名で書く

漢字の読みと平仮名との対応を明確にするため,声を出して読むことも求められている。漢字熟語の読みの最初の平仮名1文字は,言語聴覚士さんによって赤字でガイドされていて,読みを思い出し易くしてある。(2024-03-01)

言語リハビリでの文章の筆記

妻がプレゼントに同封したメッセージを書く前に,言語リハビリの中で受けた文を作るトレーニングの内容は,私が把握している範囲では,与えられた単語を含む短文を書くという課題だけである。その課題の実施(2023-08-11)に使われたテキストの一部を示す。同様の短文作成については,「脳出血発病後6年目の生活」の節「言語療法リハビリ」をも参照されたい。

与えられた単語を含む短文を書く
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