病的反射と全身痙攣

病的反射を示す訪問看護記録 リハビリ
病的反射を示す訪問看護記録

病的反射

妻は脳出血発病の後,麻痺のある右脚がときどき小さく振動する(病的反射というらしい)ことがあり,椅子に腰かけて膝を曲げた時にそれが起き易く,膝の角度を変えたり,強く押さえたりすればすぐに振動は止まる。この症状は,回復期リハビリのための入院中から見られ,退院してからも医師,看護師,療法士の誰もが確認しているが,特にそれへの対応を彼らから指示されたことはない。たまに看護師さんが訪問看護記録に「入浴介助中の下肢けいれん」のような表現で報告している。(2022-03-29)

起床直後の洗面の後でリフトアップチェアに戻ろうとして歩いている時,妻の右脚が小刻みに震えることがあった。その頃の妻の歩行に際しては,常に私が右手で後ろから彼女の脇の下を押さえていたので,彼女の姿勢が不安定になって転倒に至ることはなかった。彼女も右脚に力を入れられるようになっていて,自身の姿勢維持を図ったらしく,その日の夕方になって「右のふくらはぎと足首の筋肉が痛む」と言っていた。

その日の歩行自主トレに際しては,彼女は2~3回立ち止まって右脚が「何だかヘン」と言っていた。それまでは,未だに上手く喋れない状態での「何だかヘン」という彼女の言葉は,筋肉が動き易くなって回復傾向にあることを表す場合がほとんどであったので,振動し易くなって歩き難くなった変化を表しているその時の様子に不安を感じた。(2022-06-15)

しかし,同日やってきた理学療法士さんは,妻の右脚をもみほぐしながら「先週より柔らかくなっていて,むしろ調子はいい」と言い,歩行前の準備として,右足首を背屈させる運動と,右足でテニスボールを押しつぶす運動を指示していた。その準備運動の直後の歩行練習では,妻は「ちょっと怖い」といいながらも,これまでよりも綺麗な歩行姿勢で歩いていた。なお彼女の説明では,「いい姿勢で歩くと息が切れる」らしく,その歩行練習前には97%であった酸素飽和度(SpO2)は,歩行練習直後には95%に下っていた。

座って右足でテニスホールを押しつぶす
座って右足でテニスホールを押しつぶす
立って右足でテニスホールを押しつぶす
立って右足でテニスホールを押しつぶす
準備運動直後の歩行姿勢
準備運動直後の歩行姿勢

理学療法士さんの説明では,「身体の調子がいいと,右脚の動きも大きくなって,振動を起こしやすい膝角度に達して,右脚が小さく振動することがあり得る。身体の調子の良さに起因することで,ネガティブにとらえる必要はない。」とのことであった。さらに彼は,「身体の調子がいいと,歩行ステップの”土台”が狭くなり,重心が上って,それが怖さを感じさせていると思われるが,慣れることが肝要。」との指示を妻に与えていた。(2022-06-15)

これらの理学療法士さんのコメントを受けて,妻の後ろを歩く私は慎重にサポートを続けたが,歩行中に右脚が小刻みに震える症状はその後起きていない。むしろ右の太腿と足首付近の筋肉が動き易くなってきているようで,妻は右脚を示しながら,従来どおり回復傾向を示す意味で,「何だかヘン」と言っていた。

その後の理学療法リハビリでは,妻は壁にもたれて立ち,右足でテニスボールを押しつぶす準備運動を行い,その時に右脚が小さく振動する症状が確認されたが,その準備運動の直後の歩行では,右脚の振動は見られなかった。そこで理学療法士さんは再確認のため,座った姿勢で右脚の状態を変えながら,振動が起きやすい膝の角度をチェックしていた。(2022-06-22)

壁にもたれて立ち,右足でテニスボールを押しつぶす
壁にもたれて立ち,右足でテニスボールを押しつぶす
座った姿勢で振動が起きやすい膝の角度をチェック
座った姿勢で振動が起きやすい膝の角度をチェック

全身痙攣

退院後の最初の秋の早朝,ダブルベッドの私の隣で寝ていた妻が突然,全身の痙攣を起こした。「あぁっ」と大きな声を出して身体全体を激しく動かしていて,私の呼びかけへの反応はない。麻痺しているハズの右上肢,右下肢も動いている。携帯電話を取りに行きたいが,その間に妻がベッドから転げ落ちる可能性かある。そこで妻をベッドから床に降ろしてから,救急車を呼んだ。電話中も妻は大きな声を出し続けていて,電話のオペレータにも聞こえたようで,「いま声を出している方の件ですね」と言っていた。

救急車が到着した時には,痙攣はほぼ治まっていたが,これまでの経緯を説明して,急性期に入院した病院に運んでもらった。救急外来診察を受け,脳の状態を調べたところ,出血等の問題はなく,前年の脳出血の後遺症の一つとしての痙攣ということで,脳興奮抑制剤のレベチラセタム(イーケプラ)を処方されて直ちにタクシーで帰宅した。(2018-10-11)

しかし介護している私への影響は大きかった。添付のグラフは私の血圧で,妻が痙攣を起こした11日にピークを示している。環境急変に対する私自身の弱さを痛感した。この発症は季節の変化に関連があるのか,訪問リハビリの作業療法士さんの話では,彼女が担当している患者さんにも,妻と同じ日に同じような症状で救急搬送され,入院された方がおられたとのことであった。

私の血圧変化
私の血圧変化

救急外来診察を受けた病院の脳神経内科には,その後数か月通院を続け,再診を受けた。再診には常に私が付き添って行ったが,症状の定量測定は難しそうで,問診だけで処方する薬の量を決めていた。問診とは言っても,妻には言語障害がまだ残っているため,かなりの部分を私が受け答えていた。3ヶ月目の再診で脳波検査を受け,脳波が正常であることを確認した。脳波検査室に私も入って,測定の様子を見ることができた。時間をかけて多くの電極を頭にセットし,深呼吸と光点滅に対する反応を調べていた。(2019-01-09)

脳波検査の諸注意
脳波検査の諸注意

レベチラセタムははじめは1日に500mg2錠が処方されたが,次第に量を減らし,1日に250mg2錠になった段階で,通院を終了し,その後の処方は訪問診療の医師にお願いすることになった。(2019-08-05)

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