言葉探しの継続とメモ帳の整理

20冊に近づいた妻のメモ帳 リハビリ
20冊に近づいた妻のメモ帳

妻は,パソコンやテレビを見て,言葉探し(分からない言葉を見つけては,それをメモ帳に書き写し,必要に応じてその発音を私に確認し,カナ入力で検索して関連情報を調べる)を継続している。たとえ食事中でもこの作業は行われる。それは既に,次に示す各トピックの中でも紹介してきた。

言語リハビリの自主トレ(漢字の読み)
 - 妻のメモ帳(No.8)。
 - 書込みの量が著しく増えている。
 - 検索を実行し,その言葉の関連情報まで調べるようになった。

言語聴覚士さんの交代
 - ランダムに書き込んだメモ帳から該当部分を探し出す。

テレビのリハビリ効果
 - 読みを再確認すると共に,その言葉の関連情報まで調べる。
 - 私も一瞬たじろぐような漢字の読み。

雑誌を読んでいても,妻は言葉探しに余念がない。週刊誌を読んでいた妻は,添付の写真に示す製本のエラーを見つけ,「こういうのって,何て言うの?」と聞いてきた。「たぶん乱丁だろう」と答えたがあまり自信はない。折丁の順番が乱れているわけではなく,印刷の後でページが折られたまま裁断されたことによるページの乱れ。(2023-03-30)

乱丁

このようにして既に20冊に近づいたメモ帳の内容を妻はよく覚えていて,以前にランダムに記入した言葉をすばやく探し出して,私を驚かせることが多かった。たぶん記入した時期を記憶していて,それから何冊目のどのページに記入したかの当たりつけて,アクセスしていたのだろう。

2022年の9月の夜,妻が「眠くなった」と言ってベッドに入ったが,眠った様子はなく,15分ほど経過してから,起き出す。そして「これって何だっけ」と言って,私を洗面台に連れていき(というか,彼女が移動する時には,必ず私がその後に続く),うがい用のコップを指し示す。私が「それはコップまたはグラスだ」と言うと,彼女は自身の頭を指し示して「何かヘンなんだ」と言い,頭が混乱している様子。どう書くかを知りたいようなので,いつも彼女が座っているリフトアップチェアまで移動して,そこで私が彼女のメモ帳にカタカナで「コップ」「グラス」と書き示す。それを見て彼女は納得し,もはやベッドに戻る気はない様子。頭の混乱が収まると,眠気も収まるのかな。

それから彼女は,何冊ものメモ帳の中から,何の混乱もなく1冊を取り出してパラパラとページをめくって,「コップ」と以前に彼女によって書かれた個所を示し,「これだね」と言う。妻がほとんどランダムに書いたと思われるメモ帳の内容を素早く検索できることに私はびっくり。メモ帳の番号から判断すると,退院直後に書いたものらしい。

No.6のメモ帳に書かれた「コップ」

覚えたハズの言葉が突然分からなくなり,教えてもらうと「あっ,そうだった」と気づいて,それが以前メモ帳に書きとめた言葉であったことをしっかり思い出す。これは脳出血による記憶喪失の一つのパターンなのかな (2022-09-13)

しかし最近はさすがにメモ帳に記入した言葉が増えすぎて,アクセスが難しくなったようで,妻はこれまでのメモの内容を新しいメモ帳に50音順に整理して書き写しはじめた。大変な作業ではあるが,現在の彼女には適切な言語リハビリかもしれない。(2023-04-02)

メモ帳の内容を50音順に整理して書き写す

まず人名から整理し始めたみたい。自身の知人の名前だけでなくパソコンやテレビの画面に現れた人名が扱われているので,通常の名簿とは雰囲気が異なる。「こ」のページを見たら,自身の名前すら思い出せなかった頃に記入した「小町」と,最近記入したらしい「後鳥羽天皇」とが並んでいて,笑えた。(2023-04-02)

人名を整理した「こ」のページ

「ま」のページを見ると,最近始まったNHKの朝ドラの「らんまん」の主人公の名前「槙野万太郎」が記入されていた。そういえば昨日,テレビでこのドラマのオープニングのクレジットタイトルを妻はしっかり見つめていた。そして槙野万太郎の幼少期を演じる「森優理斗」の名前が,クレジットタイトルの先頭にあることに興味を示すと共に,メモ帳にその名前も記入していた。

人名を整理した「ま」のページ

妻は私と結婚する前は,舞台で演劇をやっていたので,今でもそういうことに興味があるみたい。記憶喪失が回復してきたということかな。(2023-04-07)


人名以外についても,言葉の整理・転記を開始している。転記されたペーシを見ると,そこには関連する言葉がページごとにまとめられていて,あたかも連想記憶の内容ををレンダリングしたようなページになっている。たぶん会話をするときの彼女の脳のワーキングエリアの内容に近いものなのかもしれない。(2023-07-20)

メモ帳の内容(人名以)を転記

つまりそのページ内容は一般的な単語帳ではなく,記憶喪失・言語障害からの回復途上にある妻固有の極めて個人的な性質の強い情報集合であろう。

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