リハビリへの縫いぐるみの利用

自主トレを見守る縫いぐるみ グッズとウエア
自主トレを見守る縫いぐるみ

縫いぐるみの機能と意義

2023年8月に日経新聞が,年齢を問わない人気商品として市場を拡大している縫いぐるみを取り上げ,価値の揺らぎの中で人が心を寄せる対象と位置付けている。(2023-08-21)

縫いぐるみに関する日経新聞の記事(部分)

縫いぐるみの機能と意義については,画像電子学会が1998年に立ち上げたVMA研究会が着目し,2001年1月の第6回研究会のテーマとして取り上げて,そこでヒトのコミュニケーションにおけるインタフェースとしての意義が議論された。(2001-01-26)

画像電子学会での議論

妻は幼少期から現在に至るまで縫いぐるみに対して愛着を示し,お気に入りの縫いぐるみを常に身近に置いてきた。脳出血後遺症からの回復途上にある現在の彼女にとって,その縫いぐるみはリハビリのサポートツールとして新たな意義を持ち始めている。(2023-08-30)

作業療法リハビリでの縫いぐるみの活用

これまでにも妻が持っている縫いぐるみは主に作業療法リハビリの中でいろいろな使われ方をされ,その幾つかを次に示すトピックの中に掲載してきた。(2023-07-14まで)

トピックの見出し
 - そのトピックで扱う使われ方1
 - そのトピックで扱う使われ方2 …
のフォーマットで縫いぐるみの使われ方を示す。

作業療法士さんの交代と作業引継ぎ
 - 縫いぐるみを握って広範囲にワイピング(雑巾がけ)

右上肢のトレーニング(基礎動作から生活動作へ)
 - 右手で縫いぐるみを掴み,杖をついて運ぶ
 - 縫いぐるみの首に輪を右手でかける(左手でサポート)

作業療法リハビリにおける小道具(グッズ)
 - 縫いぐるみを握りしめる
 - リハビリで必要になるどんな大きさにも対応可能
 - 縫いぐるみが部屋のあちこちに置いてある
 - ポジショニングのターゲットとして縫いぐるみを利用

訪問リハビリで使う代用品
 - 上肢の持続伸張ストレッチと足首のストレッチに縫いぐるみを利用

歩行器を使った歩行トレーニング
 - 縫いぐるみを軽負荷のダミーロードとしてバッグに収める

記憶回復の支援

作業療法リハビリにおける小道具(グッズ)」のペーシに示したとおり,我が家には,妻が趣味で集めたクッキーモンスターの縫いぐるみが部屋のあちこちに置いてあり,玄関では,100体ほどのクッキーモンスター達が来客をお迎えする。これらのクッキーには名前が付けられて,関連情報と共に記録されている。

クッキーモンスターの名前と関連情報

これらのクッキーの名前を思い出し,入手した時の状況を思い出すことは,妻の記憶喪失からの回復を支援する適切な活動になっている。私の名前すら思い出せなかった入院中は,何度か病室までクッキーを連れて行ったが,彼女はその名前を思い出せなかった。退院後に,身近に置いてあるクッキーから次第にその名前を思い出している。(2023-09-01)

身近に置いてあるクッキーモンスター

かなり以前(1993年)に購入したクッキーモンスターのウエストバッグを私は今でも使っているが,妻はそれを見て「同じようなものがもう一つあったハズ」と言い出した。記録を参照すると,その機能から”ポーチ”と名付けたクッキーモンスター(縫いぐるみとは言い難い)が登録されている。

クッキーモンスターの"ウエストバッグ"と"ポーチ"

それで引出しの奥からそれを探し出して妻に見せると,「そう,これだ,思い出した」と言って,ワシントンDCでそれを購入した当時(1997年)のことを芋づる式に思い出していた。(2023-09-10)

会話の練習における話し相手

言語リハビリの主要な目標の一つが自然な会話であり,日常生活での会話は重要なは自主トレそのものでもある。しかし四六時中私としゃべり続けるわけにもいかず,妻が一人で過ごす時間はかなりある。そのような時の会話の話し相手としての縫いぐるみの効果は大きく,彼女はクッキーに話しかけ,期待する回答もクッキーに成り代わって妻が答えたりしている。

歩行器を使った歩行自主トレにおいては,歩行器のバッグにクッキーを入れ,軽負荷のダミーロード(「歩行器を使った歩行トレーニング」のページを参照)とすると共に,自身に投げかけてほしい応援を妻はクッキーとしてしゃべっている。(2023-09-01)

歩行器のバッグに置いたクッキーは話し相手でもある

屋内歩行自主トレでは,歩きながらまたは途中で立ち止まって,とりとめのないおしゃべりもする。言語障害からの回復に必要な発話練習なのであろう。言語習得中の子供がとりとめのないおしゃべりをするのに似ている。その相手として縫いぐるみや壁に掛かった猫のポートレートが使われることが多い。

例えば,
 「もう,(熱帯魚が)大変なんだ。増えてる。また水槽が必要かな」
そんなとりとめのない会話の中でふと発話した自身の言葉に気付き,
 「あっ,水槽って書いたっけ」
と言ってメモ帳を調べに行き,まだ水槽を書いてなければそれを記入する。メモ帳の内容は,記憶になかった言葉だけでなく,突然自身で思い出した言葉をも含むようになってきている。(「メモ帳の変遷」のページを参照) (2024-01-13)

会話のトピック

訪問リハビリに来られた言語聴覚士さんは,クッキーモンスターはブルー(いわゆるクッキーブルー)だとばかり思っていたのに,白いクッキーがいることに気付いて驚き,それが言語リハビリを受ける妻とのフリーディスカションのトピックとなった。さらに黒いクッキーとか,クッキーの衣を借るエルモなども紹介して,ディスカションが盛り上がった。(2024-03-08)

いろいろなクッキーモンスター
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